上海市多国籍企業地域本部の現状と政策に関する紹介

多国籍企業地域本部とは?

政策面におけるサポート

『上海市多国籍企業地域本部の設立奨励に関する規定』(滬府発[2019]31号)

『上海市における多国籍企業地域本部の発展促進に関する若干の意見』(滬府発[2019]30号)

『上海市多国籍企業地域本部発展専用資金の使用及び管理に関する弁法』(滬商外資[2018]190号)

定義
多国籍企業地域本部とは

境外で登録した親会社が本市で設立する投資又はライセンスの形で一カ国以上の地域内の企業に対し、管理とサービスの機能を果たす唯一の本部機構を指します。多国籍企業は投資系会社、管理系会社など独立した法人資格を有する企業形式で上海に地域本部を設立する必要があります。

多国籍企業本部型機構とは

多国籍企業地域本部の基準に達していないが、境外で登録した親会社の一カ国以上の地域内の管理決定、資金管理、仕入れ、販売、物流、決算、研究開発、人材育成など一連のサポートサービスの中の多くの機能を実際に果たす外商投資企業(支店機構を含む)を指します。

どんな多国籍企業が上海に本部を設立?

2021年8月末までに、合わせて813社の多国籍企業は上海に地域本部を設立しました。

上海は中国本土で多国籍企業地域本部の保有数が一番多い都市です。

多国籍企業地域本部発展現状

2021年4月までに、外国投資者は上海で累計社の多国籍企業地域本部を設立しました。これらの多国籍企業地域本部はの企業数で、近くの営業収入、の利益総額、の雇用との納税総額に貢献しました。

上海は多国籍企業アジア太平洋本部とグローバル運営センターの集積地となりつつあり、地域統合の中枢とグローバル運営センターの役割を果たしています。上海にはすでに大中華区とそれ以上の地域本部141社が集まっています。上海に設立された地域本部の機能は絶えずに高まり、が三つの基本的機能となっています。

地域本部の認定条件について

地域本部の申請にあたり、次の条件を満たさなければならない。

(一)独立法人資格を有する外商投資企業であること。

(二)親会社の資産総額は2億ドルを下回っていないこと。

(三)親会社からライセンスを獲得し、一カ国以上の地域内の管理決定、資金管理、仕入れ、販売、物流、決算、研究開発、人材育成などの本部機能を担当すること。

(四)登録資本金は200万ドルを下回っていないこと。

(五)基本的に上記の条件に合致し、所在地の経済発展に際立った貢献をした場合、情状を考慮して認定を下すことがある。

本社型機構の申請にあたり、次の条件を満たさなければならない。

(一)独立法人資格を有する外商投資企業又はその支店機構であること。

(二)親会社の資産総額は1億ドルを下回っていないこと。

(三)親会社からライセンスを獲得し、一カ国以上の地域内の管理決定、資金管理、仕入れ、販売、物流、決算、研究開発、人材育成などの本部機能を担当すること。

(四)登録資本金は100万ドルを下回っていないこと。支店として設立された場合、本社が支払う運営資金は100万ドルを下回っていないこと。

多国籍企業の地域本部設立に関する管理とサービスを提供する部門について

上海市商務委員会は地域本部と本部型機構の認定を担当し、関連部門と協力して多国籍企業の地域本部と本部型機構に対する管理やサービスを展開しています。

市場監督管理、財政、税務、外事、科学技術、人力資源・社会保障、公安出入国管理、外貨管理、人民銀行、税関などの部門は各自の職責範囲内で、地域本部と本部型機構に対する管理やサービスを切実に行なっています。

どうやって申請しますか?

上海市「一網通弁」を通じて申請できます。認定業務を担う政府または部門は、申請書類を受け取った日から8営業日以内に、認定または不認定の決定を出します。認定する場合は、認定証明書を発行します。

多国籍企業地域本部はどのような支援と利便化措置を受けることができますか?

資金援助

地域本部は関連規定により、開業とオフィス賃貸の援助を受けることができます。

地域本部は経営管理、資金管理、研究開発、仕入れ、販売、物流及びサポートサービスなど総合的な運営機能を有し、経済発展に著しい貢献があり、良好な利益を収めた場合、関連規定により奨励金を受けることができます。

多国籍企業はアジア地域、アジア太平洋地域またはより大きな地域本部を設立し、関連条件に合致する場合、関連規定により資金援助を受けることができます。

資金運営と管理

地域本部、本部型機構は統一的な内部資金管理体制を構築し、自有資金に対して統一管理を行うことができます。外貨資金の運営に関わる場合は、関連する外国為替管理規定に従わなければなりません。条件を満たす地域本部、本部型機構は関連規定に従い、経常項目における集中式外貨支払・受取とネッティング純額決済、国内外資金集中運営管理、集中式為替决済、外債と対外貸付限度額集中配分などを含むいくつかの多国籍企業越境資金集中運営管理業務を展開することができます。

投資系企業は「企業集団財務公司管理弁法」に基づき財務会社を設立し、中国国内の投資企業に集中式財務管理サービスを提供することができます。

非貿易項目の外貨支払手続きを最適化し、地域本部及び本部型機構に対する納税指導とサービスを強化し、地域本部及び本部型機構の非貿易項目の外貨支払契約の登録、納税判定にグリーンチャンネルを提供します。

地域本部、本部型機構は規定に従って自由貿易口座を開設し、両替できる原則に則り、人民元・外貨クロスボーダー収支と中国国内人民元収支を取り扱うことができます。

出入国手続き

地域本部、本部型機構に所属する一定条件を満たす中国人はAPECビジネストラベルカード(ABTC)を申請することができます。ビジネスのために香港、マカオ、台湾、または海外に行く必要がある場合、関連部門が出国の便宜を提供します。

地域本部や本部型機関に所属し、複数回臨時入国を必要とする外国人は入国の有効期間が1年以内、滞在期間は180日を超えないマルチビザを申請できます。臨時に上海に来る外国人は中国の在外使領事館で入国ビザを申請しなければなりません。

上海市に長期滞在する地域本部、本部型機構の外国人は3年から5年まで有効な「外国人居留許可」を申請できます。地域本部、本部型機構の法定代表者などの高級管理者は『外国人の中国における永住審査認可管理弁法』に従い、「外国人永久居留証」の申請を優先されます。

上海税関(出入国検査検疫部門)は地域本部、本部型機構の法定代表者及び本部機能に関わる高級管理者の健康証明書の申請にグリーンチャンネルを提供します。

人材誘致

人力資源・社会保障部門と科学技術部門は地域本部、本部型機構が誘致した外国人人材の本市での仕事と関連証明書の申請に便宜を提供します。

地域本部、本部型機構は国内の優秀な人材を誘致する場合、関連条件を満たした場合、本市の戸籍を取得できます。

地域本部、本部型機構が雇用した、本科(学士)以上の学歴(学位)又は特殊な才能を持つ外国籍を取得した留学人員、中国パスポートを所持し、国外の永久(長期)居住権を有し、かつ国内に戸籍のない留学人員とその他の専門的人材、香港・マカオ・台湾の専門的人材は規定により、「上海市居住証」(B証)を申請でき、配偶者と18歳未満または高校在学の子供は、随員証を取得できます。

地域本部、本部型機構が置かれる各区は、地域本部が誘致した人材に子女の入学、医療保障、「人才公寓」(人材マンション)の申請などの面において利便性を提供します。

貿易に関する利便性

条件を満たした地域本部、本部型機構に対して、税関は貿易の便利化に重点を置き、監督管理制度と監督管理モードの革新を図り、通関効率の向上に力を入れ、それらの企業の輸出入貨物の通関に便利さを提供します。地域本部、本部型機構はディストリビューション・センターを設立し、物流整合を行う場合、税関、外国為替などの部門はそれに対して便利な監督管理措置を講じます。

区級政府のサポート

各区政府はそれぞれの実情に合わせて、地域本部及び本部型機構の発展をサポートする政策措置を制定し、地域本部及び本部型機構の発展に有利なビジネス環境を整えることができます。

本規定の適用について

香港、マカオ、台湾地区の投資者が本市に地域本部、本部型機構を設立する場合、本規定が適用されます。

施行期日と有効期限

本規定は2019年9月1日から施行され、有効期限は2024年8月31日までとします。